○徳島市子育ての文化を創造するための社会の役割に関する条例
平成21年9月30日
条例第26号
長い歴史と伝統を持ち,吉野川や眉山の豊かな自然に恵まれた徳島市に暮らす私たちは,ふるさとのこのまちで,次代を担う子どもたちを,多くの人々に支えられながら健やかに育てていきたいと願っている。
しかし,近年,核家族化の進行,人々の価値観の多様化,就労形態の変化等に伴う人間関係や地域共同体としての連帯意識の希薄化等により,子育て経験者や地域住民から子育ての知恵や支援が得られにくくなり,子育て家庭の孤立化,子育てに対する不安感や負担感の増大を招いている。
このような状況に対して,私たちは,子どもと子育て家庭を愛情を持って優しく見守り,ともに手を差し伸べ合うことの重要性を認識し,子育てを社会全体で支えていかなければならない。
ここに,私たちは,一人一人が子育てを支援していくことを通じて,地域の人と人とのつながりを再生し,だれもが安心して子どもを生み,育て,子育てに伴う誇りと喜びを共有することのできるまちづくりを推進するとともに,こうした取組の継続が,徳島市の子育ての文化として培われ,将来に受け継がれていくことを目指し,この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は,子育て支援について,基本理念を定め,市の責務並びに保護者,市民,子育て支援団体,事業者及び学校等の役割を明らかにするとともに,市の施策の基本となる事項を定めることにより,社会全体が一体となった地域ぐるみの子育て支援を推進し,もって豊かな子育ての文化の創造に寄与することを目的とする。
(1) 子育て支援 子育て家庭及び子どもの健全な育成に対する支援その他の安心して子どもを生み,健やかに育てることのできる環境を整備するための取組をいう。
(2) 子育て支援団体 自治会,ボランティア団体,特定非営利活動法人,子育てサークルその他の子育て支援に関する活動を行う団体をいう。
(3) 学校等 幼稚園,小学校,中学校その他の学校教育施設及び保育所,児童館その他の児童福祉施設をいう。
(基本理念)
第3条 子育て支援は,次に掲げる事項を基本として行われなければならない。
(1) 子どもの権利を尊重し,その最善の利益を考慮すること。
(2) 保護者が子育ての意義について理解を深め,子育てに伴う誇りと喜びを実感することができるよう配慮すること。
(3) だれもが安心して子どもを生み,健やかに育てることのできる環境を整備すること。
(4) 社会全体で子育て支援に取り組む意識の向上を図ること。
(5) 市,市民,子育て支援団体,事業者及び学校等が相互に連携し,協働して取り組むこと。
(6) 結婚,出産及び子育てに関する個人の意思及び価値観が尊重されるよう配慮すること。
(市の責務)
第4条 市は,前条の基本理念にのっとり,子育て支援に関する施策を策定し,総合的かつ計画的にこれを実施するものとする。
3 市は,第1項の規定による施策の策定及び実施に当たっては,市民等及び国,県その他の関係機関(以下「関係機関」という。)と相互に連携し,協働して取り組むものとする。
(保護者の役割)
第5条 保護者は,子どもの行動及び人格の形成について最も大きな責任を有することを自覚し,愛情を持って子どもに接するとともに,家族のきずな及び触れ合いを大切にしながら,子どもの心身のよりどころとなる家庭づくりに努めるものとする。
2 保護者は,子育てを通じて自ら学び,人として成長するとともに,子どもが基本的な生活習慣,社会のきまりを守る意識等の生きる力を身に付けることができるよう努めるものとする。
3 保護者は,地域社会の一員として,子どもとともに伝統行事,ボランティア活動等の様々な地域活動に取り組み,地域とのかかわりを大切にするよう努めるものとする。
(市民の役割)
第6条 市民は,子どもの豊かな人間性が,地域の人,自然,社会及び文化とのかかわりの中ではぐくまれることを認識し,子育ての意義及び子育て支援の重要性について関心と理解を深めるとともに,地域における子育て支援に関する活動に積極的に参加するよう努めるものとする。
2 市民は,暴力,犯罪,事故等から子どもを守るため,常に子どもとその周囲の環境に配慮し,安全で安心な地域づくりに努めるものとする。
3 市民は,市が実施する子育て支援に関する施策並びに子育て支援団体,事業者及び学校等が行う子育て支援に関する活動に協力するよう努めるものとする。
(子育て支援団体の役割)
第7条 子育て支援団体は,地域の特性を生かした子育て支援に関する活動を積極的に推進するとともに,市,市民,事業者及び学校等と相互に連携し,協働することにより,地域における子育て支援の拡充に資するよう努めるものとする。
2 子育て支援団体は,子ども及び保護者が伝統行事,ボランティア活動等の様々な地域活動に参加しやすい環境づくりに努めるものとする。
3 子育て支援団体は,市が実施する子育て支援に関する施策並びに市民,事業者及び学校等が行う子育て支援に関する活動に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第8条 事業者は,その事業活動が子育てに及ぼす影響の大きさを認識し,その雇用する従業者が子どもとのかかわりを深めることができるよう,仕事と家庭生活が両立できる職場環境を整備するとともに,地域社会の一員として,子育て支援に関する活動を積極的に推進するよう努めるものとする。
2 事業者は,市が実施する子育て支援に関する施策並びに市民,子育て支援団体及び学校等が行う子育て支援に関する活動に協力するよう努めるものとする。
(学校等の役割)
第9条 学校等は,子どもが集団の中での様々な活動を通じて,豊かな人間性,社会性等の生きる力を身に付けることができるようにするとともに,子育て支援に関する活動を積極的に推進するよう努めるものとする。
2 学校等は,保護者,市民,子育て支援団体,事業者及び関係機関と相互に連携して,子どもが安全に安心して学び,育つことのできる環境づくりに努めるものとする。
3 学校等は,市が実施する子育て支援に関する施策並びに市民,子育て支援団体及び事業者が行う子育て支援に関する活動に協力するよう努めるものとする。
(子育て家庭への支援)
第10条 市は,保護者が必要な子育てに関する情報及び学習の機会の提供を行うものとする。
2 市は,子ども及び子育てに関する保護者からの相談に迅速かつ適切に対処するため,市民等及び関係機関と相互に連携した相談体制を整備するものとする。
3 市は,前2項に掲げるもののほか,子育てに関する保護者の負担の軽減,子育てをしやすい生活環境の整備など,子育て家庭を支援するため必要な措置を講ずるものとする。
(子育てを支援する仕組みづくり)
第11条 市は,市民等が行う子育て支援に関する活動を促進するため,情報の提供,相互の交流の促進,人材の育成その他の必要な支援を行うものとする。
2 市は,子どもがのびのびと活動できる場並びに子ども,保護者及び市民等が広く交流できる場を確保するなど,地域における子育ての拠点づくりを行うものとする。
3 市は,子育ての意義及び子育て支援の重要性について市民等の関心と理解を深め,子育て支援に関する活動への市民等の積極的な参加を促進するため,情報の発信,学習の機会の提供その他の必要な広報又は啓発を行うものとする。
4 市は,前3項に掲げるもののほか,地域ぐるみで子育てを支援する仕組みを整備するため必要な措置を講ずるものとする。
(推進体制の整備)
第12条 市は,保護者,市民等及び関係機関と相互に連携し,協働して子育て支援を総合的かつ計画的に推進するため,必要な体制を整備するものとする。
(公表)
第13条 市長は,毎年度,子育て支援に関する施策の実施状況を公表しなければならない。
(委任)
第14条 この条例の施行に関し必要な事項は,市長が別に定める。
附則
この条例は,公布の日から施行する。